「1DKくらいなら、なんとか自力で片付けられるのではないか」。そう考える方もいるかもしれません。確かに、業者に依頼する高額な費用を節約できるというメリットは魅力的です。しかし、1DKのゴミ屋敷の片付けは、想像以上に過酷であり、自力での挑戦には、多くの困難とリスクが伴います。自力での片付けが可能かどうかの判断基準は、「ゴミの高さ」と「ゴミの種類」にあります。もし、ゴミが足首程度の高さまでで、そのほとんどが衣類や雑誌、乾いたゴミであれば、強い意志と計画性、そして十分な時間があれば、自力での片付けも不可能ではないでしょう。しかし、ゴミが膝の高さを超え、生ゴミや液体、得体の知れない物が混在している場合は、自力での片付けは極めて困難、かつ危険です。まず、物理的な問題として、「ゴミの処分」という大きな壁が立ちはだかります。1DKであっても、ゴミの総量は軽トラック数台分にもなることがあります。これだけの量のゴミを、自治体のルールに従って分別し、決められた収集日に少しずつ出すのは、途方もない時間と労力がかかります。また、一度に大量に出すと「一時多量ゴミ」として回収してもらえず、自分でクリーンセンターに何度も搬入する必要が出てきます。さらに、深刻なのが「健康被害のリスク」です。長年放置されたゴミの中は、カビの胞子や、ゴキブリ、ダニといった害虫の死骸やフンが蔓延しています。不十分な装備で作業を行えば、アレルギーや喘息、感染症を引き起こす危険性が非常に高いのです。そして、何よりも、終わりの見えない作業と、過去の自分と向き合う精神的な苦痛は、心を折るのに十分な威力を持っています。もし、少しでも「自分では無理かもしれない」と感じたなら、それは決して恥ずかしいことではありません。自分の心と体の安全を最優先し、勇気を出してプロの専門業者に相談すること。それが、この困難な状況から抜け出すための、最も賢明な選択なのです。
1DKゴミ屋敷の片付けは自力で可能か