ゴミ屋敷の片付けにおいて、通常の清掃作業だけでは対応しきれない、より深刻な状況が存在します。それが、「特殊清掃」を必要とするケースです。特殊清掃とは、孤独死や自殺、事件現場などで発生した体液や血液の除去、腐敗による汚染の回復、そして強烈な死臭の消臭など、極めて専門的な知識と技術を要する清掃作業を指します。ゴミ屋敷の現場では、孤独死が発見されるケースに加え、ペットの多頭飼育崩壊による糞尿の汚染、長年のゴミの放置による深刻な腐敗臭や害虫の大量発生、水漏れによるカビの蔓延など、様々な理由で特殊清掃が必要となることがあります。この特殊清掃の費用は、通常のゴミ屋敷の掃除費用に「追加」される形で請求され、料金を大きく押し上げる要因となります。その費用は、汚染の範囲や深刻度、作業の難易度によって大きく変動しますが、数万円から数十万円、場合によっては百万円を超えることもあります。例えば、体液による汚染があった場合、単に表面を拭くだけでは不十分です。床材や壁紙の下の建材にまで汚染が浸透していることが多く、その場合は床や壁を解体し、汚染された部分を物理的に除去した上で、専用の薬剤を用いて徹底的な消毒と消臭作業を行う必要があります。また、多頭飼育崩壊現場での糞尿によるアンモニア臭や、長年染み付いた腐敗臭の除去には、オゾン発生器などの専門的な脱臭機材を長時間稼働させる必要があり、その機材使用料や作業期間に応じて費用がかかります。特殊清掃は、感染症のリスク管理や、精神的にも過酷な現場での作業となるため、専門の訓練を受けたスタッフでなければ対応できません。もし、ご自身の直面している現場が、単なるゴミの片付けだけでは済まないと判断した場合は、必ず「特殊清掃」の専門知識と実績を持つ業者に相談することが不可欠です。安易な清掃では、臭いや汚染の根本的な解決にはならず、後々さらに大きな問題を引き起こす可能性があるからです。