離れて暮らす高齢の親の家がゴミ屋敷になってしまった。その事実に直面した時、子供としてどうすれば良いのか。心配するあまりつい「どうしてこんなになるまで!」「早く片付けなさい!」と親を厳しく責めてしまいがちです。しかしその対応は問題を解決するどころか、親の心をさらに固く閉ざさせ事態を悪化させる最悪の一手となりかねません。家族がゴミ屋敷問題を抱える高齢の親に対してできること。それはまず「なぜそうなってしまったのか」という背景を理解しようと努めることから始まります。ゴミ屋敷は多くの場合、加齢による身体機能の低下や認知症、そして孤独感といった本人だけではどうすることもできないやむにやまれぬ事情が原因です。その親の苦しみに思いを馳せ共感する姿勢が全ての基本となります。具体的なアプローチとしてはまず対話の機会を持つことです。ただし片付けを迫るのではなく、「最近体の調子はどう?」「何か困っていることはない?」といった親の健康や生活を気遣う言葉から始めましょう。そして親が悩みを打ち明けてくれたら、それを決して否定せず最後までじっくりと聞いてあげてください。その上で「ゴミ出し大変だったら手伝おうか?」「もし良かったら市の相談窓口に一緒に話を聞きに行ってみない?」と具体的な解決策をあくまで提案として提示します。決して無理強いはいけません。しかし家族だけの力で解決しようとすることも多くの場合限界があります。家族の最も重要な役割は親を適切な外部の支援に繋げることです。地域の「地域包括支援センター」は高齢者のあらゆる問題に対応してくれる公的な専門機関です。ここに家族が相談し専門家であるケアマネージャーなどと連携して今後の支援体制を作っていく。それが最も確実でそして親の尊厳を守ることができる解決への道筋です。家族の役割は全てを背負うことではありません。親が安心して支援を受け入れられるようその橋渡しをすることなのです。
親の家がゴミ屋敷に!家族ができること